Ⅰ.教育の概要
1.学校(幼稚班)・地域の特色
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本校附属幼稚班は、初級部1年(小学校1年相当)から中級部3年(中学校3年相当)が通う初中級学校に併設されており、広い校庭を活用した運動遊びに主体的に取り組むことができる。また、年間を通して初級部、中級部の児童生徒たち年齢幅の広い異年齢の友達との交流により、様々な体験が学びとなって幼児の生活や遊びを豊かにしている。
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教育に熱心な家庭が多く、協力的でPTA活動であるオモニ会も充実し、幼児にも愛情を持って接している。よって人とかかわる力を育むため、異年齢交流や学校内外の様々な人とかかわる体験を重視している。
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民族的自覚の芽生えを促しながら、地域の日本の人々との交流を大切にしている。
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自然と触れ合う楽しさや、収穫した野菜を食べる喜びを味わいながら、環境教育行っている。
2.教育目標
(1)幼稚班の教育目標
本校附属幼稚班では義務教育及びその後の教育の基礎を培うことを目標とする。
○ 集団生活を通じ幼児期から自らを律する心と感性豊かな民族的情緒を育てる。
○ 体験と遊びを通じ科学的知識の基礎、考える力を育てる。
○ 豊かな感情と表現力を養い、心と体の発育、意欲を育てる。
○ 正しい生活習慣、健全な道徳観念の基礎を養う。
(2)幼稚班の教育目標を達成するための基本方針
- 幼児が友達と共に過ごす中で、持ち味や力を十分に発揮し、のびのびと生活や遊びに取り組むことが出来るように、心と体の基礎をしっかり育て、幼児期にふさわしい生活を展開する。
- 様々なことに挑戦していく意欲やたくましさを身につけていくために規則正しい生活や戸外遊びの充実を図る。
- 遊びや生活に主体的に取り組む力を育成するために、意図的・計画的な保育環境を構成する。
- 人とかかわる力を養うために、学校内外の様々な人とかかわる体験を重視する。
- 一人一人の良さや可能性を伸ばしていくために、幼児の実態をとらえ個に応じた指導を行う。
- コリアン伝統的文化にふれる機会を大切にし、地域とコリアンコミュニティーの教育力を活かした教育活動を展開することで、潤いのある豊かな生活や遊びを保障する。
- 豊かな感性や知的好奇心を育むために、自然やものとの直接体験を重視する。
- 初級部、小学校への円滑な接続のために、就学前教育の充実と初級部、幼稚園との交流、連携を重視する。
3.指導の重点
(1)教育課程の編成、実施にかかわる指導の重点
- 幼児が主体的に体を動かす喜びを味わうために、広い校庭や体育館の活用を重視し運動遊びや集団遊びを積極的に取り入れる。(健康)
- 豊かな感性や事前に対する親しみの気持を育むため、様々な体験をつうじて動植物を愛する心、自然現象に対する興味と観察力を育てる。数・量・形の概念の基礎を作る。(自然)
- 友達と共に気持ちよく生活する態度と基本的生活習、社会性を養うため、友達と十分にかかわる中で、言葉で思いを伝えあい、相手の思いに気付いて自分の感情をコントロールしたり、きまりを守ることの大切さを確認したる体験を意図的に確保する。(言葉・人間関係・社会)
- 豊かな表現力や国際感覚の基礎を育てるために、コリアをはじめとする様々な国の伝統や文化と出会う機会、朝鮮語で聞き話す機会を意図的・計画的に設ける。(言葉・表現・社会)
- 民族のリズムに合わせて歌い踊る楽しさ、感情を歌、踊り、楽器演奏(ピアニカ・木琴・打楽器など)等で自由に表現する表現力を養う。(表現)
- お絵描き、工作等を楽しみながら、創造性と独創性を育てるための機会を意図的・計画的に設ける。(表現)
- 学びの芽生えを促すため、幼児の関心をとらえ、楽しみ、試し、工夫しながら遊びが発展するように援助し、考えたり、探求したりする楽しさを経験できるようにする。(環境)
(2)環境の構成
- 全身を動かして遊べるように、年齢や時期に応じて全員でいろいろな運動遊びに取り組む機会を設けたり、戸外で体を動かして遊ぶための環境を充実させたりする。
- 幼稚班での行事や学校。地域の行事などの体験から興味や関心を深めたり、それが発展していくよう、写真や関係する絵本等を取り入れた環境の構成を工夫する。
- 人に対する信頼感や、互いを尊重する気持ちを育むために、同年齢や異年齢の友達・初級部、中級部の児童等と一緒に楽しむ経験を通して、相手への理解を深めたり、優しくしてもらう嬉しさや人の役に立つ喜びを感じたりできるようにする。
- 言葉や表現、態度などいろいろな方法で自分の思いを伝える喜びを味わうことが出来るようにするために、劇遊びやリトミック、リズム遊び、表現活動を取り入れる。また、毎日の集会を通して話を聞く姿勢を身につけ、発表する楽しみを味わうようにする。
- 幼児が感じたり、考えたりすることの楽しさを味わうことが出来るようにするために、発達に応じがもの作りのための指導内容や教材、場作りを工夫する。
- 幼児期から児童期への滑らかな接続を図るために、初級部と併設する環境を活かし、教職員と連携を取りながら初級部児童との日常的なかかわりを重視する。
- 自然に対する興味、関心を深めるために、季節に応じた自然との出会いや日常的な自然との触れ合いを体験できるようにする。
(3)その他
○ 家庭の教育力を高めていくために、保護者の多様なニーズに応えるとともに、子育て支援活動の充実を図る。
- 保護者の幼稚班教育に対する理解を深めるために、発達を考慮し、学校・学級の実態に応じて参観、参加の機会を積極的に設ける。
- 幼稚班と家庭とが相互に情報を交換し合う中で、幼児をより深く理解し、保護者が子育ての喜びを実感できるようにする。
- 保護者の仕事等による子育て、幼児教育の負担を軽減するために預かり保育を常時行うものとする。
- また夏休み・冬休みなど学校が休校の期間でも保護者の子育てを支援する観点より夏季保育、特別保育等を設ける。
○ 特別支援教育
- 一人ひとりの発達や特性に応じた指導を行うため、各学級の課題を全教職員で協議しながら、より望ましい援助の方法を探っていく。さらに、全教職員が共通の方針に基づいて指導を行うことで、指導効果を高める。
○ 幼小連携
- 初級部の授業を積極的に参観したり、意見を交換したりする中で、教育の連続性をとらえ、円滑な接続のための連携を図っていくとともに、就学に向けての意欲を高めていく指導を工夫する。
○ 本年度の研究主題